■ ニュース(8)ノロウィルス猛威!感染防止の工夫を
ノロウイルスによる感染性胃腸炎が全国で猛威を振るっている。国立感染症研究所の最新の定点調査によると、一医療機関当たりの一週間の患者数は21人を超える勢いで過去最悪ペース。流行はなお拡大傾向にあり、大半の都道府県がノロウイルス警報を発令し、手洗いの励行など注意を呼び掛ける異例の事態になっている。国立感染症研が全国約三千の小児科から集めている定点調査では、2006年11月21〜26日の一週間に感染性胃腸炎と診断された患者が一医療機関当たり19.8人。大半はノロウイルスが原因だ。翌週の調査では21人を上回る見込みで、1981年の調査開始以来、最悪の水準が続く。ノロウイルスが最も流行したのは96年で500万〜700万人が発症したとされるが、「今年は1000万人に迫る勢い」との見方もある。同研究所は一機関当たりの患者が20人以上になった場合を「警報レベル」と規定。厚生労働省によると、12月上旬で全国の保健所の過半数が警報レベルに達し、東京都など大半の都道府県が警報を発令した。今年の流行は9月末ごろ九州で始まり、例年より二週ほど早いペース。10〜11月にかけ、中国、近畿、関東地方へ広がった。通常は乳幼児が中心だが、成人に感染が広かったのも今年の特徴だ。各地の老人ホームや医療機関で集団感染が発生し、肺炎などで死亡する高齢者も出ている。14日も大阪府高槻市の病院で入院患者と職員計68人に集団感染が起きていたことがわかった。流行のピークは12月中旬ごろで、学校や企業が冬休みに入る12月下旬には沈静化することが多い。同研究所は注意を喚起している。感染経路について、これまでは主にウイルスが蓄積されたカキなどの二枚貝を食べた人が感染した。ここ数年は貝以外の食品を食べてうつる場合や、感染者や回復した人からうつる二次感染が増えている。感染者の便や嘔吐(おうと)物の中のウイルスが世話をする人の手に付着し、食品などに付いて体内に取り込むことが多いと考えられている。感染者が急増した原因は不明。そもそも回復しても便の中にはウイルスが1〜2週間程度排出され続ける。共立薬科大学の中村明子特任教授は「回復した人は油断して手洗いが不十分になり、感染を広げている可能性がある」と指摘。国立感染症研究所の松野重夫主任研究宮は「今年は流行の立ち上がりか早く、感染が加速したのかもしれない」とみる。ノロウイルスは下水処理でも死滅しにくく、河川や海に流れ再び貝などを通じて人に感染することもあるようだ。感染防止で心がけるべきことは、せっけんを泡立てて手をしっかり洗い、ウイルスを落とすこと。松野主任研究官は「消毒用アルコールだけでは死滅しにくい」と話す。中村特任教授は「野菜や加熱後の食品などそのまま□に入れる食材の場合、調理する人は素手で直接触れずに使い捨てのゴム製手袋やハシを使ってほしい」と呼びかける。感染者の嘔吐物の処理方法は、次亜塩素酸ナトリウム(身近なものでは漂白剤)液を薄めてペーパータオルなどに染み込ませ嘔吐物を覆う。その後、袋などにまとめて燃えるゴミとして処分する。じゅうたんなどで漂白剤が使いにくい場合は、取り除いた後でセ氏71.3度以上のアイロンや蒸気が出る掃除用具などで一分程度加熱すればいい。
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