■ 感染のニュース（１） ノロウィルスには加熱を！
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ノロウイルスによる感染性胃腸炎の流行に関連して、ウイルスの正体や、発病の仕組み、流行の背景を探った。国内での調査例で全国約３０００ヵ所の小児科で調べている感染症発生動向調査によると、2006年12月４〜10日のー週間で６万６８７１人が感染性胃腸炎を発症。ほとんどノロウイルスが原因とみられる。都道府県別では福井、愛媛、埼玉、富山、宮城、山口などが多く、西日本から東日本に流行が移りつつあるという。一方、欧州でも南欧の一部を除き、ドイツ、英国、スウェーデン、フィンランド、デンマークなど広範囲で例年を上回る流行が報告されている。カリブ海や大西洋を航行中の米客船でも大規模な集団感染があった。これほど流行している理由は分からないが、ウイルスの遺伝子が変化して感染しやすくなったのではないかという説もある。ただ、世界中のノロウイルスが一斉に変化したとは考えにくい。感染カは強く、ノロウイルスは68年に米オハイオ州で起きた集団間腸炎の患者から見つかった。直径30ナノμ（ナノは10億分のＩ）ほどの球形をしている。ヒトの空腸（小腸の一部）の上皮に感染し、腸の表面の繊毛をはがしてしまうため下痢を起こすと考えられている。便や吐物を介しヒトからヒトヘ感染する。潜伏期間はＩ〜２日。感染力や増殖力が強く、10〜Ｉ００個ほどの少量が体内に入っても症状を引き起こすことがある。乾いた吐物からウイルスが飛散することによる″空気感染″が疑われる集団感染例も出ている。患者の便から1g当たり１００万個程度のウイルスが検出され、すべてが排出されるのに健康な成人でー週間、幼児では３ヵ月かかる場合があるという。症状が治まっても便の中にウイルスを排出し続けるので、２次感染の予防が重要だ。抗体ができにくく、ーシーズンに何度も発症する人もいる。ノロウイルスはヒトの腸でしか増殖せず、実験用の動物や細胞に人工的に感染させることにはまだ成功していない。腸から分泌される消化酵素などをうまく利用して増殖すると思われる。生きたヒトでは実験が限られるため、ノロウイルスの性質には分からない部分が多い。このため、症状が出てからの治療は対症療法しかなく、感染予防が肝心となる。ただ、酸や熱には比較的強く、アルコールでも死なない。動物に感染する類似のウイルスは71.3度で１分間加熱すると死ぬことから、食品や調理器具について、厚生労働省は85度以上で１分間以上加熱するか、ウイルス全般に有効な塩素系漂白剤で消毒することを勧めている。カキは無実？ノロウイルスは二枚貝に合まれることがあり、毎年冬場には生ガキなどによる食中毒が散発的に起こっている。しかし、カキは2006年大流行の″犯人″ではない。厚労省によれば、11月以降、ノロウイルスによる食中毒で、カキが原因となったのはＩ件だけだ。ノロウイルスを含んだ下水が海に流れ込み、食物連鎖を通じてカキに取り込まれたと考えられる。中心部までしっかり火を通せば問題ないと思われる。
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